R-CNN(2/2)クレーム骨子の作成

はぐれ弁理士 PA Tora-O です。前回(第1回)では、R-CNNの概要について説明しました。改めて復習されたい方は、こちらのリンクから確認をお願いします。

通常の流れでは、[1]発明の概要を説明した後、[2]実施例の検討 → [3]クレーム骨子の作成 → [4]発明ストーリーの仕上げ&作者コメント の順で展開するのですが、今回は、機能ブロック図とクレーム骨子を作ってこのテーマを締めたいと思います。その理由は、R-CNNは、画像特徴量を抽出する際にCNNを新たに導入したにすぎず、特許性を主張することが難しいからです(特許・実用新案審査基準:進歩性事例34を参照)。

機能ブロック図

クレームの構成に対応する機能ブロック図を作成しました。

【図】R-CNNの機能ブロック図(2パターン)

クレーム骨子

 全体画像の中から対象物を含む部分画像を抽出する抽出部と、
 ニューラルネットワークからなり、またはニューラルネットワークを含んで構成され、かつ部分画像の中にある対象物を検出する検出部と、
 抽出部により抽出された部分画像を構成する要素数がニューラルネットワークの入力層を構成する演算ユニット数に一致するように部分画像のサイズを調整し、調整済みの部分画像を検出部に供給する調整部と、
 を備えることを特徴とする対象物検出装置。(206文字)

ポイント解説

対象物
「物体」(=物の対象物)と表現すると、人間を含む生物が除外されるのではないか、という懸念があります。そこで、特許業界では、慣例的に「対象物」と表現する場合が多いようです。

ニューラルネットワークを含んで構成
本論文のような「CNN+SVM」のネットワーク構成をカバーするための記載です。ただ、この構成では、2つの学習器に対して個別に機械学習を行う必要があるため、将来的な本命技術(ベストモード)とは言いにくいです。

要素数
ピクセル数、ボクセル数、チャンネル数、フレーム数、あるいはこれらの個数の積をすべてカバーできるように上位概念化します。

サイズを調整
画像サイズの調整方法には、[1]拡縮処理(ワープ処理)のみならず、[2]トリム処理(クロップ処理)や[3]パディング処理も含まれ得ます。そこで、クレームの表現上、調整方法の具体的な特定を避けています。

以上、ちょっと物足りなさを感じつつも、R-CNNの事例検討を終了します。次回から、R-CNNに関連する別のテーマに移ります。

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